空きマンションが増えると

マンションの老朽化が進み始めると、居住者は、我慢して住み続けるか、あきらめて転居するか、いずれかの選択となります。資金にゆとりのある世帯は引っ越すことになるでしょう。生活に支障が出て、我慢ができなくなって転居する世帯もでるでしょう。引っ越した後は空き部屋になります。
居住者がどんどん減少し、遂には、大量の空室(住戸)がでることになります。残された居住者は大変です。空室の管理費が徴収できない。料金の負担ができなくなり、共用部分の電気・ガス・水道が止まります。階段・廊下の電気が消えます。エレベーターの運転もできなくなるでしょう。
集中冷暖房設備など無駄な賞用がかかるので使用できるものではありません。空いたマンションに不審者が忍び込んでも、他人の所有物ですから、不審者を咎める権限はありません。老人だけが住む地方の過疎が、社会問題となって久しくなります。解決のための施策がないので、近ごろでは口にする人もいません。高齢の生活弱者が取り残される大都市の老朽マンションの空室問題は、新しい都会の過疎問題ということができます。

『分譲と賃貸、どちらが得か』
賃貸マンションであれば、マンションの老朽化とともに、さっさと新しい賃貸マンションに引っ越すことができます。マンションの価格が5千万円であると仮定しましょう。マンションの耐用年数を30年とすると、一年当たり166万円、60年だと一年当たり83万円となります。マンションが建築後30年前後で更新されるとしましょう。
一年当たりの166万円に、固定資産税などを加算すると、月額15万円116万円程度となります。ローン金利や管理費・補修積立金などを加えれば、この金額をかなり上回る額となります。マンションの値上がり益が見込めない経済情勢では、賃貸マンションとあまり違いがないか、不利な結果になります。
経済的に同じ程度の負担としても、マンションに人生が固定されるだけ、分譲マンションが不利となります。コンクリート造建物は、適切な管理で耐用年数が大幅に伸長します。維持管理・設備の更新を適切に行い、建物の構造耐力を保ち、劣化を防ぎ、住居機能の維持に努めなければなりません。
建物の耐用年数には、物理的耐用年数・経済的耐用年数・法定耐用年数の3つのものがあります。物理的耐用年数とは、建物の経年劣化により建物の構造耐力が寿命に達した場合です。

経済的耐用年数とは、物理的には寿命に達していないが外観・機能が時代遅れ(陳腐化)になり取り壊される場合です。
法定耐用年数とは、税法上償却が認められる期間で、コンクリート造の建物で60年程度の年数です。ここで耐用年数として問題するのは、建物の物理的耐用年数です。建物の物理的な耐用限界の概念(基準)は、明確なものではありません。人が住めない危険な状態の建物です。消防署から、建物の取り壊し勧告がなされるものは、明らかに物理的耐用年数を経過したものです。近ごろ、コンクリートの物理的寿命が、極めて短いことが指摘されているのです。